ティーバックにご用心。イギリスのティータイム事情。

配偶者の職場では午前10時半と午後3時にティータイムがある。必ず参加しなければならないわけではないし毎日必ずティータイムが発生する訳ではないが、「ティー?」と上司や同僚に聞かれると、例え仕事が立て込んでいても配偶者は参加するそうだ。不定期、そして1日2回もティータイムに誘われると何だか煩わしい気もするが、日本の職場のような上司と部下の関係とは違い、配偶者の職場はオンとオフの境目がはっきりしているし、煩わしいことも一切ないとのことで、配偶者は出来る限りティータイムに参加しているらしい。


ティーと言えば、イギリス。調査によると、英国ティーカウンシルによると、イギリスで1日に消費される紅茶は約1億7000万杯。やはりイギリスは、名実共に紅茶大国だ。しかし、イギリス人は優雅に紅茶とスコーンやクッキー等でアフタヌーンティーを楽しむイメージが強いが、実は英国で消費される紅茶のほとんどがティーバックでいれられたものだそうだ。この事実を知り、ぽろちと配偶者は少々面食らったが、確かにカフェなどでお茶をした時、提供される紅茶はリーフティーではなくティーバックの方が多い。


日本のティーバックは小さめで紐がついているのが一般的だが、こちらのティーバックは円形のティーバックが一般的。マグカップの底に円形ティーバックを1個入れ、沸騰させたお湯を注いだ後、しっかりと色濃くなるまで出し、牛乳を入れて飲むのが、イギリスの基本的な飲み方のようだ。配偶者の職場の皆さんは、指で円形のティーバックを掴み、湯気やお湯の熱さを我慢しながらチャプチャプして、机にティッシュを敷き、そこに使い終わったティーバックを置き、指を舐める。まだイギリス慣れない頃、職場の同僚は、熱さに顔をしかめる配偶者に、ミルクをいれたらましになるよ!と爽やかにアドバイスされたそうである。なんという横着!とただただ笑うしかない。


元々はティーバックではなくリーフティーが主流だったが、1904年にアメリカでティーバックが開発されてから状況は一変した。当時アメリカでは、お茶のサンプルはブリキ缶に入れ顧客に送るのが主流だったらしい。しかし、経費を削減するために木綿の袋に入れて送ったところ、それを受け取ったお客が、この包装にとまどい、包みごとお湯に投げこんだのがティーバックの始まりだそうだ。当初は紅茶大国イギリスでは全く受け入れられなく、この謎の木綿袋、ティーバックに対して不信感を持っていたそうだが、このティーバックが徐々にアメリカの飲食店で使用されるようになった1920年頃から、急速にイギリスの一般家庭で広まったらしい。手間をかけて紅茶を淹れる方が美味しいと気もするが、手軽に飲めるティーバックはイギリスで大人気になったようだ。


スーパーには種類豊富な紅茶がたくさん陳列しており、紅茶だけではなく、グリーンティーやハーブティーも揃っている。グリーンティーは日本の緑茶とは味が違うが、とにかくお茶に関して言うならこのイギリスで困ることはない。


ちなみにイギリスでは、紅茶にビスケットやクッキーを浸して食べる人が多い。紅茶にビスケットを浸して食べることをダンク(dunk)と言うそうだ。配偶者の職場の同僚はほぼ全員ビスケットをティーにダンクして食べている。かじったビスケットはマグカップの縁において、ふやかして、もしくはチョコレートを溶かしてまたダンク。物は試しとぽろちと配偶者も挑戦してみたが、そうおすすめできるものではない。せっかくのおやつが台無しといった感じだ。ティーバックの使い方にしても、ビスケットの食べ方にしても我々がティータイムという言葉から想像してしまう優雅な雰囲気とは何だかほど遠いな、と感じてしまうが、コミニュケーションの一環として職場では重要な役割を果たしているようだ。

ティーバックが万能で有能だということはわかった。しかし、声を大にして言いたい事。それはは、せめて飲食店ではティーバックではなくリーフティーでお願いしたい。ぽろちと配偶者がこれまで入ったエディンバラの英国スタイルのカフェの中では、ナショナルギャラリーの紅茶がリーフティーであった。この他にリーフティーだったカフェはあったかな、と考えても出てこない。素敵なカフェで優雅に紅茶を、と思ってもティーバックで出てくるとがっかりしてしまうもの。是非英国でカフェに行かれる方は注意して欲しい。

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