10月のスコーン

先日、仕事から帰宅した配偶者に早々「来週のミーティング、ケーキ係になったから」と言われた。

配偶者の職場では週に一度、仕事の経過や成果を発表するミーティンが設けられる。その殺伐としたミーティングの雰囲気を少しでもお菓子で和ませようという意味もあるのか、上司・ジェイソンの判断によって交代でケーキ係が決まるのだ。驚いたのは、ジェイソン自らもケーキ係となって皆にお菓子を振る舞うこと。日本だと基本的に上司は部下に任せるのが一般的だが、この上司は率先して自分から動くようだ。

以前からその謎のケーキ係のシステムについてはなんとなく聞いてはいたのだが、同僚の人数が多いことと、ぽろちが渡英する一週間前にケーキ係の任務を果たしたと配偶者から聞いていたので、しばらくはケーキ係になることはないだろうと高をくくっていた。

しかし、こんなにも早く、配偶者はケーキ係に任命されてしまった。

正直、ちょっと、いや、かなり作りたくない。人様に振る舞う技術なんて持ち合わせていない。ダメ元で市販のケーキを買って持っていけばどうか、と提案してみた。実際自宅でケーキを焼いてくるのは数人で、多くの同僚が作らず市販のケーキやパンなどで済ませているようだ。面白いのは、女性が手作りをさぼっており、男性の方がしっかりケーキを焼いてくるということ。日本とは逆の状況であることがおもしろい。

案の定、配偶者は渋い顔をし「だめ。作る」と言う。なんで?と聞くと、「作ってきてるのは、12人中、俺とジェイソン、ロブ、ジョンで、今更作らない訳にはいかなくなった」とのこと。こう言い出したら配偶者の決意は変わらないので、 諦めの気持ちで何を作るのか聞いてみると、「スコーンにしようかな!」と言った。

は?スコーン?なんで?

配偶者の、スコーンという自殺行為のような選択に、ぽろちは軽く目眩がした。スコーンの国イギリスで外国人のぽろちと配偶者がスコーンを皆に振る舞うなんて、外国人が日本で日本人におにぎりを振る舞うようなものである。この男、どうかしてる。

ぽろちの心配事をよそに、結局スコーンを作ることになった。
日本の材料と勝手が違い、なんちゃらパウダーやらなんちゃら砂糖に悩ませられながら、なんとか作ったのがこちらのスコーン。


卵黄をトップに塗り見栄えが良く見えるよう一手間。後日、イギリスの粉類については別記事でお伝えする予定。

スコーン作る!と鼻息を荒くして意気込んでいた配偶者は、現金なことにオーブンでスコーンを焼く段階に登場しあれやこれやと指示を出す始末。見た目はちょっとアレだが、日本と勝手違うイギリスの材料やオーブンでよく頑張ったな…と我ながら思う。

ちなみに配偶者は自ら掲げた「ケーキを買うのではなく、ケーキを作る」という任務を果たしたこと満足したのか、ぺろりとスコーンを平らげていた。真夜中にである。

翌日、ケーキ係として任務を果たした配偶者は、上司ジェイソンや同僚達からお褒めの言葉を頂戴したらしい。ちなみにジェイソンは「グッド。スコットランドの文化に魅了されたみたいね!スコーンは奥が深いよ!」と言っていたそうだ。

すっかり調子に乗った配偶者は「妻とスコーンを作ったんです」などと余計なことを言ったため、この後ジェイソンから「ぽろちをぜひ紹介してくれ。今日のパーティー、ぽろちも連れて来なさい。いいね?」と言われ、「ぽろちに怒られる…」と頭を抱えるのであった(ぽろちは人見知りなので紹介される云々が苦手)。

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